第10話: 魔術師ロバ再び現る ~呪いをかけたんじゃ~
僕は魔術師が落としていった「金持ち父さん貧乏父さん」をすべて読んでしまった。
久しぶりに時間を忘れてしまうほど読書に没頭した。
お金に対して素直になっていいんだということ。
大切なことを気づかせてくれた。
僕は数日後、インターネットからファイナンシャルプランナー2級/AFPの通信講座を申し込みを済ませた。
FP(ファイナンシャルプランナー)に興味をもった理由は次のとおりだ。
* お金に興味を持つことは悪いことではないということに気づけたので、欲望のままになれた。
* お金に翻弄されるのではなく、お金ををコントロールするほうになりたかった。
* ファイナンシャルIQ鍛えることによって、現状を打破したかった。
* 仕事で銀行のシステムをサポートしているので、金融関連の知識がプラスになると思った。
何か新しいことを始めるときはいつも楽しみだ。
勉強であっても、その気持ちは変わらない。
その週は教材が届くのを首を長くして待っていた。
郵送で最短三日で届くということだったのだ。
その日は会社に出勤して、いつものように何とか乗り切って家路についた。
教材が届いていることは、すでに妻から知らされていた。
最寄り駅に到着するとワクワクしている気持ちを押さえきれずに、小走りで家に向かっていた。
歩道橋を渡り公園の入り口にさしかかったところで、暗がりから不意に声をかける男がいた。
僕は驚き、転びそうになった。
体勢を立て直し、声のするほうに目を向けた。
目の前には見覚えのある男の姿が。
あの魔術師が立っているではないか。
僕はすぐにその落とし物が「金持ち父さん貧乏父さん」の本であることに気がついた。
僕は意地悪そうに答えた。
それを聞いた魔術師は、血相をかえてこう言った。
今度は目を大きく見開き、感情的になってこう言った。
僕が裏表紙に書いてあった言葉を忘れるはずがない。
あれを見て無性にむしゃくしゃしたからだ。
ますます怒りを増した表情でこう言った。
僕は反論した。
魔術師は納得できない口調でこうつづけた。
すると魔術師は僕の顔の前で人差し指を左右に振って、こう言った。
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僕はカバンの中に入れてあった「金持ち父さん貧乏父さん」の本を取り出し、魔術師に返した。
魔術師は嬉しそうにしていた。
僕は本を読んだあと自分の心境に変化があったことを伝えた。
そしてファイナンシャルプランナーの資格試験の勉強を始めることを知らせると、少しびっくりした顔でこう言った。
僕はそれをさりげなくスルーした。
僕はバカにされたと思って、ムスッとした声で答えた。
魔術師はプーマのロゴのはいったショルダーバックから、ながーいパイプを取り出し、吹かし始めた。
そう言うと、魔術師は困った顔をしてこう言った。
僕は魔術師の言葉にいろいろな意味で驚いた。
魔術師は吸っていたパイプを夜空に向かって高々と掲げた。
一筋の閃光が星の輝く夜空を切り裂き、耳をつんざく雷鳴で僕はとっさに右手で顔を覆い隠した。
おそるおそるあたりを見回すと、魔術師がパイプを掲げて立っていた。
パイプの先は紫色の光で輝いていた。
次の瞬間、魔術師がそのパイプを僕に向けて振りかざしてきた。
パイプの先の紫色の光はレーザーとなり、僕のズボンのポケットに照射された。
僕はポケットを見ると、中で家の鍵が光っていた。
魔術師のほうを見ると、パイプの先の紫色の光は消えていた。
何事もなかったかのように、僕を見て微笑んでいた。
僕は魔術師にこうたずねた。
魔術師は穏やかな表情でこう言った。
それを聞いた僕はこの老人の頭を、とんがり帽子の上から平手打ちした。
軽いツッコミ程度の平手打ちだったが、かなり効果的だった。
魔術師はオロオロし始めて、本音を語り出した。
そんなこんなで、魔術師が家についてくることになってしまった。
TO BE CONTINUED=>