第8話: 小学生の頃の夢 ~キミの置き忘れてきた夢はなにかね?~

どのような仕事をして、これからの人生を歩んでいくべきなのか僕には全く分からなかった。
魔術師も呆れてしまったのか、黙り込んでしまった。
僕が困っているのを察してか、彼はこう言ってきた。

ロバの写真
無気力か?自分? そんなんで人生楽しいか?確かにいまの状態じゃスタートラインにも立ててないな。

僕は彼の言葉に頭に来たが、何も反論することができなかった。

ロバの写真
じゃあ、こういう質問はどうだ? キミに置き忘れてきた夢はあるか? 最近じゃなくて小学生の頃に抱いていた夢はどんなんだった?
ゲムの写真
何で小学校の頃の夢なの?
ロバの写真
年を重ねていくと人間はつまらなくなっていくからじゃ。 現実的な夢なんてつまらんじゃろ。
ゲムの写真
そう言われれば、確かに。 僕が小学生の卒業文集に書いたのは、つまらない夢だった。 将来の夢は一流大学経由で一流企業に就職することだった。 一流企業の下請け会社で契約社員をさせてもらっているということは、 曲がりなりにも夢がかなったのかな? いずれにしても、ちっぽけな夢だったなー。
ロバの写真
いや、キミは犠牲者って言ってもいいかもな。 もっと悪いのは社会だ。学校なんてサラリーマンとなる兵隊を訓練する場所で、 国の都合で義務教育にされているだけじゃ。まー恩恵もたくさん受けているんだがな。 サラリーマン養成所みたいなところで、生まれてくるのはサラリーマン予備軍しかいないだろ。

魔術師の言葉を半分聞き流しながら、僕の小学生の頃に夢みていたことを思い出してた。

ゲムちゃんの将来の夢
小学1年生: スーパーヒーロー
宇宙刑事ギャバンにあこがれて、本気でスーパーヒーローになろうと思っていた。

ACTION WORKS 宇宙刑事ギャバン

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小学2年生: 警察官
西部警察の大門にあこがれて、本気で警察官になって犯罪者と銃撃戦をしたかった。
スーパーカーも格好良かったなー。警察官隊長(?)の友人と公言していた父親にだまされ続けて、よく言うことを聞くいい子だった。

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小学2年生: バスの運転手
西部警察の余韻もさめやらぬなか、僕はバスでみた光景に釘付け。
制服を着て大型バスを運転する運転手さんが、ものすごくかっこよくみえた。
いつも一番前の運転席がみえるシートに陣取って、一挙手一投足を観察していたもんだ。
なんといっても、バスを降りていく人たちが料金箱にお金をどんどんどんどん入れていく光景をみて、バスの運転手になることを夢見た。

ロバの写真
自分、本当にがめついな。

小学3年生: 妖怪博士 「ゲゲゲの鬼太郎」が大好きで、妖怪大図鑑をいつも持ち歩いていた。ぬらりひょんの顔を何度も何度も模写したのを覚えている。一体どんな職業なんだか。

第96話 妖怪王・ぬらりひょん

第96話 妖怪王・ぬらりひょん

小学4年生: 総理大臣 クラスの人気者であった僕は、なにか他の人とは違う事を言わなければ民衆(ファン)を満足させることが出来なかった。そこで出てきたのが総理大臣だったのだ。
実際、政治には興味があったのか、4年生ですでに「首領ドン」とかいう政治漫画を読んでいたのをおぼえている。

小学5年生: 高橋名人の上をいく名人 高橋名人は誰もが知っているゲームの達人。16連写というスゴ技を引っさげでファミ通やコロコロでよく見かけたもんだ。「高橋名人」vs「毛利名人」の世紀の頂上対決に盛り上がったのを覚えている。ゲーマーになれれば幸せになれると思っていたときだ。

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小学6年生: 一流大学経由一流企業 これは先ほども触れたとおり。夢でも何でもない。現実的なつまらない未来を追いかけ始めたときだった。

ロバの写真
結構、いいのでてくるじゃん。 特に妖怪博士なんて、そんじょそこらの人間は考えつかない夢の仕事だ。 どうだキミ、いまだに妖怪博士になる気はあるか?
ゲムの写真
妖怪博士も含めて、今もやりたいと思っているのは一つもないね。 所詮、こどもだった時の夢だよ。 今の僕じゃ、実現不可能だろーね。
ロバの写真
それがいけないんじゃ。諦めるな。 興味のあったものを必ずどこかに置き忘れてきたはずじゃ。
ゲムの写真
しかたないよね。これが今の僕だよ。素直に受け止めるよ。

その時だった、
プルプルプル…プルプルプル…
その音は魔術師のアディダスのバックの中から聞こえてきた。

ロバの写真
あーすまんすまん。わしのじゃ。

すると、魔術師はバックの中から片手に収まるほどの大きさの水晶玉を取り出した。

photo by april-mo

彼は、水晶玉に向かって話しかけている。
どうやら、誰かと水晶玉で通信をしているらしい。
魔術師のスマホか?
水晶玉に話しかけるのが終わると、彼は席を立ってこう言った。

ロバの写真
すまん急用が入ってしまってな、すぐ帰らなきゃならなくなった。 キミのことはまた日を改めて捕まえることにするよ。 いろいろ話してくれてありがとう。 また会おう!

肩にショルダーバックをさげ、逃げるように店を出ていった。
僕はしばらく店の入り口のドアをボーっと眺めていた。

ゲムの写真
(不思議なひとだったなー。最後まで怪しさ満載だったし。) げー、あのオッサン会計済ませていかなかったなー。 僕が払うの? せこすぎ。

諦めて二人分のお代を払い、真夜中の家路につくことにした。
店の入り口をでたところで、つまづいてしまった。
腕時計をみると夜中の3時をまわっていた。
そのせいでフラフラしてるのかと思った。
しかし、ふと足下を見たところ、なんと本が落ちていたのだ。
僕はその本を拾い上げた。
表紙にはこう書いてあった。
「金持ち父さん貧乏父さん」

金持ち父さん貧乏父さん

金持ち父さん貧乏父さん

  • 作者: ロバートキヨサキ,シャロン・レクター(公認会計士),白根美保子
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2000/11/09
  • メディア: 単行本
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ゲムの写真
(だれか落としていったのかな?)

そして本の裏表紙をみた。
汚い字で本の持ち主の名前が書いてある。しかも鉛筆で。

「魔術師ロバの所有物。触れるべからず」

TO BE CONTINUED=>

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ロバの写真
ちょっと筆者さんまたオフレコでいいですか?
著者の写真
なんかまた文句ある?
ロバの写真
ブログのデザイン変えたでしょ? 会話文のこの吹き出しなかなかいいじゃない。 でもなんで、あなたも魔術師の格好してるの? しかも全身写真。もしかして小人?
著者の写真
あーこれね。僕自身がロバちゃんのモデルになってるからなんだ。 キミたちを白黒写真で目を隠して犯罪者みたいにしたのは、 僕のほうが上という格付けをはっきりさせておきたかったからだよ。 他にも言いたそうな顔してるんだけど、なにか?
ロバの写真
よく分かったね。 おおあり。 いやー、確かゲムちゃんの設定は27歳だよね? 宇宙刑事ギャバンにしろ、西部警察にしろ80年代前半に放送していたTV番組のはず。 それが27歳の少年が見てたって、ちょっと無理じゃねーですか? 妊娠中の母親の記憶をもらったとか…。 そんなこといったら何年オカーチャンの腹の中に潜伏してたんだか。
著者の写真
まー、ロバちゃんの言っていることは分かるよ。 第2話で笑うセールスマンが登場した時から思ってたもん。 でもそこはさ、実話に基づいたフィクションだから、なんでもありでしょ。
ロバの写真
じゃー、もうっちょっと、つじつまが合うように物語を作っていかなきゃ。
著者の写真
いいのいいの。あんまり気にしてないよ。 僕の記憶をたどって物語にしているだけだから。 現代のものと未来のものがごちゃ混ぜになってくる予定。 ロバちゃん自体、時空を超えた存在なんだから、そんな細かい事言ってないで、 あなたの魔法でどうにかしてよ。
ロバの写真
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